生薬?天然物化学
研究室紹介
生薬?天然物化学研究室
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研究室の概要
田村 理 教授
本研究室は、薬の元となる有用な活性化合物を天然資源より探し出し、それらを創薬へと繋げる(メディシナルケミストリー)または、それらを利用して未知の生命現象を解明する(ケミカルバイオロジー)ことを目的としている。
古来より、人類は天然に存在する動植物や鉱物を薬として用いており、人類に有用な化合物が含まれていることは明らかである。また、青カビからペニシリンが発見されて以来、微生物の産生する化合物の有用性にも注目が集まっている。これら天然資源には非常に多種類の化合物が含まれているだけでなく、人類には想像のつかない新奇な構造を有するものが存在しうる。それゆえ、幅広く活性化合物を探索する上で、天然資源は人工的な化合物ライブラリーと比べ圧倒的なポテンシャルを有していると言える。我々は、単なる天然由来化合物の単離、構造決定に留まらず、独自性の高い活性評価法を構築することで、たとえ既知化合物であっても未知の活性を明らかにして新たな価値を付与できると考えている。
また、活性評価系の構築、化合物の単離?構造解析、類縁体合成、構造活性相関の検討、作用機序解明、実験動物を用いた活性評価などを研究室内で手がけるため、研究内容や実験が化学から生物まで様々な分野に跨がっている特色を有している。
研究においてポイントとなる単語?言葉
天然物化学、ケミカルバイオロジー、創薬化学、有機化学
教育の内容
講義では、有機化学の基礎となる「有機薬化学Iおよび演習」、有用天然資源の分類や用法、主成分、生合成経路について学ぶ「天然物化学?生薬学IおよびII」を担当する。また、分析系の基礎実習、物理?化学系の専門実習を担当する。
研究室においては、教えられた指示内容や実験操作のもととなる論理的理由について良く考えることで、理論的な根拠に基づいて自分のアイデアを構築できる人材の育成を目指す。また、アイデアについて積極的に相談できるような雰囲気を作っていきたい。化合物を見つけるところから作用機序解明や動物実験での活性評価までを一つの研究室で行っていくため、研究室内セミナーなどを通じて創薬プロセスを体感でき、ファーマシスト?サイエンティストになる上で重要な経験を得ることができる。
研究の内容
- 血管新生や細胞接着など、がん細胞に特徴的な性質を標的とした副作用の少ない新規抗がんリードの開発
- アレルギー発症のシーケンスに存在するIgEと受容体の結合に着目し、これまでにないIgE受容体発現抑制をメカニズムとしたアレルギー予防薬の開発
- 和歌山県の特産物に注目した天然物エキスライブラリーの構築と生理活性物質の探索