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精神医学は、行動科学を基盤とする医学の一分野です。その実践と研究には、他の医学分野では考えられないような多岐にわたる(分子生物学から心理学に至るまでというような)手法が用いられるので、精神医学を目指す方それぞれの関心や特性に合致した専門領域が必ず見つかると思います。一方で、精神医学の実践では、生物、心理、社会を統合した思考?視野が常に要求されます。個々の専門性を高めつつ、文系から理系までの幅広い内容をバランスよく科学的に理解する姿勢が常に求められるという、人としての成長をも促してくれる、一生の仕事とするにふさわしい医学の一分野です。
当教室の活動の原点と使命
当教室の活動の原点は、精神疾患の患者さんの苦悩に寄り添い、可能な限りその苦悩を和らげることにあります。そのためには、個々の精神科医は、その時々で最良と考えられる精神科医療を提供し続けること、すなわち、生涯にわたって最新の精神医学の知識と最良の技量の習得?更新をしながら医療を実践することが求められます。和歌山のすべての精神科医が、最良の精神科医療を継続して実践できるように支援することが、当教室の重要な使命の一つと考えています。
指定医?専門医の取得の支援
卒後3年目以降の附属病院と関連病院での後期臨床研修における精神保健指定医?精神科専門医の取得を目指した臨床活動や症例検討?レポート作成などは、継続して最良の精神科医療を提供する基礎となる重要なものと考え、教室内?関連病院の指定医?指導医を中心に関係者全員でこれまでも支援してきました。また、学会発表や英文?和文の症例報告の作成も奨励?支援してきました。これらの資格の取得や発表?報告までの過程は知識を整理し深化させ、ひいては臨床能力を向上させますので、これからも手厚い体制で支援していきます。
大学院生の研究活動の支援
当教室の研究活動は、臨床能力の向上に直結できる内容を志向しています。例えば、最近の研究は、
1) 患者さんを被験者とした神経生理学的手法、脳画像、血液中のサイトカインやω-3脂肪酸などを用いた統合失調症や気分障害の病態の研究、
2) 認知行動療法を基礎としたうつ病の復職支援プログラムの実践とその有効性のエビデンスの証明などであり、研究の遂行には詳細で正確な症状評価や専門的な臨床能力が要求されます。
さらに、研究の計画?遂行や論文の作成には論理的で科学的な思考能力も要求されますが、いずれの能力も、生涯にわたって自律的に最良の精神科医療を実践する礎となるものです。研究活動には大学院への進学が最も近道ですが、進学されない場合にも臨床の活動と並行して研究活動にも従事されることを推奨しており、大学院生であるなしにかかわらず、研究活動についてもできる限り支援していきます。