海外基礎配属(シンガポール?南洋理工大学)を終えて
西迫 佑菜
私は、この夏海外基礎配属のプログラムにて、シンガポールの南洋理工大学(NTU)に留学しました。正直、英語は得意ではなく、留学前は不安や緊張もあったのですが、たくさんの人と出会い、たくさんの貴重な経験をし、充実した6週間を過ごすことができました。その経験を通じて、学んだこと?感じたことをまとめましたので、特に留学を悩んでいる皆さんの参考になれば幸いです。
がん研究に興味のあった私は、大学ではSchool of Biological ScienceのKoh Cheng Gee教授のラボにお世話になり、主に研究員のJessieさんや大学院生のRynaさんのもとで癌細胞の移動?浸潤に関わる研究を見学しました。当初は、Student Passを取得して、実際に研究に参加させていただく予定だったのですが、手続きに時間がかかり間に合わず、最後の1週以外は見学のみということになりました。それでも、英語のみの環境下で実験原理や手技を教えていただいたり、シンポジウムにて様々な国の方のプレゼンテーションを聞いたり、大学院のセミナーに参加したりしたことは大変貴重な経験であり、海外で学ぶための英語の重要性を実感するとともに、「がんに関する研究」と言っても世界規模でいろいろな視点から行われているのだと改めて感じました。また特殊なゲルをつくるためにシンガポールの化学会社街に連れて行っていただいたり、新たな実験を始めるにあたる討論に混ぜていただいたりなど、特別な経験もできました。同世代の研究員や大学生?大学院生と話す機会にも多く恵まれ、彼らのお話や、研究や勉学に対する姿勢は大変印象深く、私自身も大学での勉強をさらに頑張ろうと思うとともに、自分の将来を改めて考えるきっかけにもなりました。
休日は、同様にシンガポールに留学した友人とアラブストリートやリトルインディア、チャイナタウンを散策したり、シンガポールで仲良くなった人たちとご飯を食べに行ったり、遊びに行ったりしていました。シンガポール全体としては、治安も良く、大変交通網も発達しており、気候は時々大雨が降るものの比較的カラッとしていて過ごしやすかったです。食事?衣服?文化?言語?英語の訛り等々からは、日本ではあまり実感することのない、世界の多様性を感じられました。フードコートではアジア圏の各国の料理が食べられ、No Pork, No LardやHalal という張り紙が見られます。街中では公用語である、英語、中国語やタミル語、マレー語などが聞こえてきます。また英語と言っても、私にとって聞き取りやすいものから訛りの強い聞き取りにくいものまで様々でした。
特に言語面において「何ヶ国語喋れる?」と聞かれた時には、衝撃を受けました。彼らにとって、2カ国語以上話せるのは何も特別なことではないようです。シンガポールは中華系の方が多いため、英語に加え、中国語を学んでいる人が多く、中国からの留学生のほとんどが中国語に加え、英語を流暢に話していました。日本語を学んでいる人たちもいました。言語を学ぶことの難しさに共感してか、皆、拙い英語でも理解しようとしてくださるし、何度でも丁寧に説明してくださりますが、その優しさが嬉しくもあり、彼らは流暢なのに、と悔しくもありました。また、Koh 教授をはじめ、日本を好きな方とも多く出会い、「日本に次行く時には連絡するね!」と言ってくださりました。その悔しさや、彼らと今度会うときにはもっと英語で話せるように、というのが帰国してからの英語を学ぶモチベーションにもなっています。
なんとなく頑張っていた大学生活ですが、この留学を通して、改めて医学の勉強も英語の勉強も頑張ろうと思えました。また、長期間に渡り海外で過ごした経験は、挑戦してみればなんとかなる、という自信にもつながり、英語を話すことに対する苦手意識もなくなりました。たった6週間ですが、ここには書ききれないほど、たくさんの人と出会い、毎日に学びがあり、とても濃い時間を過ごせました。
最後になりましたが、コロナ渦の中でも留学出来るよう働きかけてくださった改正先生、井上先生、神人先生、留学をサポートしてくださった国際交流センターの林さん、NTUのGladysさん、温かく受け入れてくださったKoh Cheng Gee Labのメンバー、並びにお世話になりました全ての方にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。この貴重な経験を活かし、世界に目を向けながら、さらに励んでいきたいと思います。
アラブストリート
JurongPoint内の中華通り
BuonaVistaの化学会社街